2024年のIPAを振り返る

お酒以外

こんにちは。ここでは2024年に僕が飲んだIPAを振り返っていきます。2024年はIPA以外にも特筆すべきビールがあったのでIPA以外のビールも登場しますが、あまり気にしないでください。去年と同様に私が飲んだIPAしか振り返らないので、これさえ読めば2024年のIPA事情がばっちりとはなりません。

※2023年の振り返りはこちら

※この記事は主観によるものを多く含みます。鵜呑みせずに参考程度にご覧ください。

「sublime!」評価を付けたIPA

「sublime!」とは当サイトの最高評価です。この評価になるIPAには普通に美味しい以上のことが求められます。例えば他を圧倒する美味しさや、今まで飲んだことがない発見とかですかね。「sublime!」の評価をしているIPAは誰が飲んでも美味しいと思うので、見かけたら是非飲んでみてください。

 

忽布古丹/狼少年(ホップコタン/オオカミショウネン)

二つ名は「秩序ある世界のブラックIPA。ブラックIPAは黒のローストとIPAのホップの要素が喧嘩しており、その喧嘩を楽しむものだと思っていました。しかしこの狼少年は喧嘩をしておらず調和がもたらされており、今流行りのフルーツを感じるコーヒーのようになっています。ライ麦が和睦の使者になった可能性もありますが、他のライ麦を使ったブラックIPAは普通に喧嘩していたので、現状よく分かっていません。

 

Fidens/Use It Up(ファイデンズ/ユーズイットアップ)

二つ名は「ラストピースはSimcoe」。去年飲んだ同ブルワリーのJasperに足りなかった〆の部分をSimcoeの青臭さが補完したヘイジーIPAです。Jasperを飲んでいないとSimcoeの隠し味が分かりにくい、そもそもの味がぼやけている等の万人受けしにくい感じもします。それでも「なんとなく美味しい」を引き出すだけのポテンシャルはあるし、飲んだ時のラストピースがハマった感じが最高だったのでsublime!とさせてもらいました。

 

Deschutes/Fresh Haze(デシューツ/フレッシュスヘイズ)

二つ名は「終点にして始点」。昔のウエストコーストIPAの終点にして、ヘイジーIPAの始点という意味です。「なんかいっぱいホップを入れたら濁った」で始まったヘイジーIPAですが、その中でも甘さを感じるタイプなので味でヘイジーIPAとして分かりやすいのがいいですね。上の「Use It Up」と比べると全然濁ってないのでウエストコーストIPAの終点としても捉えることもできます。歴史的価値はもちろんですが、ホップの苦みとホップの甘さでバランスを取っている味わいも素晴らしいです。改めて考えると昔飲んだ時よりも知識が深まったことでより美味しく感じて、Sublime!になったような気もしますがまぁいいでしょう。最初に美味しいと感じたヘイジーこれだったせいで、ヘイジーの探求で迷子なったんやぞと文句を言いたくなりますが…

 

それ以外で気になったビール

「sublime!」ではないものの、特記するべき要素をもっているビールを紹介していきます。美味しかったビールの中でも印象に残ったり、技術的な側面で取り上げるビールたちです。IPA以外も登場するので表記を”ビール”とさせていただきます。

 

GREAT DANE/GREAT LAGER(グレートデーン/グレートラガー)

国産のクラフトラガーで一番美味しいのでピックアップ。大手のビールが安くて美味しいのに、高いお金を払ってクラフトラガーを買う意味が分からなかった私に革命を起こした1本。特に国産は大手に少し隠し味を加えた程度のものが多く「これに600円っすか?」と虚しくなってしまうことがよくありました。しかしGREAT LAGERは骨格はラガーでありながら、ホップの味わいがキチンとします。僕の求めていたクラフトラガーそのものです。

 

サッポロ/生ビール黒ラベル エクストラブリュー

大手メーカーの偉大さと怖さを感じました。これエクストラブリューとかカッコつけていますが、骨格はヘレスそのものなんですよね。クラフトブルワリーが頑張って600円ぐらいで売っているものを大手にかかれば200円です。これだけ値段の差があると味にも差があって欲しいのですが、少ししか違いがありません。怖いったらありゃしないですね。IPA方面も頑張ってくれると一人の消費者としてはありがたいのでよろしくお願いします。

 

北アルプス/IPA

久々に美味しいアメリカンIPAを見つけました。アメリカンIPAは過去の産物で新商品で出てくることは滅多にありません。それも国産ならなおさらです。国産で美味しいアメリカンIPAに出会ってしまったら取り上げないわけにはいけませんよね。味わいは王道ですが、隠し味の甘めフルーツがあり他との差別化もばっちりです。

 

Marlowe/Ghost Signatures: Nelson

Bliss Processに可能性を感じました。Freestyle Hopsというニュージーランドのホップメーカーの新作なのですが、当たりロットの味がしたんですよ。Bliss Processの詳細が分からない(収穫方法と加工方法が試験的らしい)のでなんとも言えないですが、当たりロットを量産できるのであれば革命です。今のところNelson Sauvinしか発売していないので、今後に期待ですね。

 

ヤッホーブルーイング/Hazy IPA 2024

今年一番ガッカリしたIPAがこちら。詳細は該当記事を読んで欲しいのですが、とにかくガッカリした。過大広告が過ぎると思います。完成品の「有頂天エイリアンズ」を飲んで決着を付けたいところ。

 

IPA関連ニュース

ここでは2024年のIPAに関係するニュースを書いていきます。ニッチなニュースばかりですが、お付き合いいただけますと幸いです。

  

HBC586に名前が付く

いつ名前が付くんだよと言われ続けてきたHBC586にKrush(クラッシュ)という名前が付きました。Krush君は完熟マンゴーのような甘い香りが特徴で、日本ではInkhornが上手に使っているイメージがあります。名前が付いたことにより、大量生産されるはずなので各ブルワリーで使われるのではないでしょうか。

YCH(Yakima Chief Hops)の紹介記事:https://www.yakimachief.com/commercial/hop-wire/HBC-586-krush

 

HS16660にも名前が付く

HS16660にErebus(エレボス)という名前が付きました。そこそこIPAについて調べて、飲んでいるつもりですが聞いたことがないホップです。 調べてみるとブルーベリー、柑橘類、砂糖漬けの果物の特徴を持っているらしいです。名前が付いたことにより様々なビールに使われると思うので、今後に期待ですね。

Hopsteinerの紹介記事:https://www.hopsteiner.com/blog/introducing-erebus/

 

YCH 701、YCH 702に名前が付く

YCHの濃縮ホップであるYCH 701とYCH 702に正式名称が付きました。YCH 701はHyperBoost、YCH 702はDynaBoostという名前になりました。基本的な用途はHyperBoostは発酵時、ドライホッピング、DynaBoostはワールプールの時です。名前が似ているので混同しないように気をつけていきましょう。これらを使ったIPAは飲んで無いと思いますが、飲む機会があったら他の濃縮ホップとの違いにフォーカスして飲んでみます。

HyperBoostのプレスリリース:https://jp.prnasia.com/story/115069-3.shtml
Dyna Boostのプレスリリース:https://kyodonewsprwire.jp/release/202404199695

 

Knee Deepの正式輸入が終了し、始まる

AQ BevolutionがKnee Deepのビールの輸入を辞めて、その後Evergreenが輸入を始めたという話です。輸入を辞めた経緯は「ビールの品質に問題があった」とのことでしたが、シムトラは味のブレがかなりあったのでそれも納得できます。Evergreenに変わったことにより、何が変わったかと言うと多分に輸入方法が空輸になっています。僕は謎のシムトラ買い占めにより飲めませんでしたが、周りの評判は良さそうなのでこれからも大丈夫そうです。

AQ Bevolutionからの輸入中止のお知らせ:https://www.aqbevolution.com/11137/

 

Stoneの輸入が終わりそうになるが、なんとか耐える

これもタイトルの通りで、2024年11月にStone Brewingが海外輸出中止を発表→輸入元のナガノトレーディングが「今後は一部商品に限られるけど、輸入を続けるよ」と発表といった感じです。一部商品がどこまでなのか分からないですが、インペリアルスタウトが今年輸入されたので本当の限定商品(周年記念、enjoy byシリーズ)以外は大丈夫ではないでしょか。

Drinks bussinesのストーン輸出中止の記事:https://x.gd/fuUnm
ナガノトレーディングの輸入継続の発表:https://www.naganotrading.com/blogs/news/about-importing-stone-brewing-2025

 

Silvaが閉鎖する

カリフォルニアの名門、Silva Brewingが閉鎖しました。個人的に今年で一番ショッキングなニュースです。本ブログではHop Maniacしか紹介していませんでしたが、それ以外のビールも王道の美味しさで閉鎖するなんて夢にも思いませんでした。閉鎖した原因として「コロナ禍以降ビールの製造コストが増え、旅行客を始めとした消費者の興味関心が減った」とコメントしていましたが、日本でも同様なことが起こっても不思議ではないでしょう。

The Fresno Bee(カリフォルニア州のニュースサイト)の閉鎖決定の記事:https://www.fresnobee.com/living/food-drink/article296577609.html

 

日本市場の考察

最後は日本市場の考察を行っていきます。とは言っても去年と大まかな違いはありません。この考察は個人の主観のみで行われているものなので、絶対に鵜呑みにはしないようにお願いします。私はただの飲み手でしかないですからね。

 

スタイル編

IPA市場でいうとヘイジーIPAの1強状態は変わらず。スムージーサワー、サワーIPAのようなサワー系の人気も落ち着いてきました。これら以外のスタイルも人気が上がってきたものは無かったと思います。2024年もスタイルというよりはブルワリー人気で売れている感じです。

 

ブルワリー編

日本国内のブルワリーは人気度で言うと「うちゅう」、「Teenage」、「WBC」の3強環境に突入。新参のTeenageはサブスクサービスも始め、ファンの囲い込みもバッチリです。それよりも一歩下になりますが、「Totopia」、「Inkhorn」、「Vertere」が人気ブルワリーとして名を連ねています。

2024年創業のブルワリーでは「GREAT DEAN」、「Hazy Labo」が印象に残っています。前者は先述の通り暫定日本で一番美味しいラガーを作っています。後者のHazy Laboですが、低アルコールでも美味しいヘイジーIPAを作る、鮮度至上主義のヘイジーIPAをあえて熟成させる等のヘイジーIPAの可能性を探求している素晴らしいブルワリーです。一般流通も始まってきたので、このブログでも登場する機会が増えてくると思います。

海外のブルワリーでは去年ほどではありませんが大物が初来日。「Brujos」、「Marlowe」、「TEST」等のスーパールーキーや「The Answer」、「Shred Beer」、「GOAL」等の有名どころも来てくれました。ぼちぼちネタ切れ感がありますが、「Deep Fried」、「Tree House」、「Russian River」、「Willow Park」あたりが来てくれる踊っちゃうぐらい嬉しいです。

人気で言うと初来日組と言いたいところですが、過酷な争奪戦が発生したのは実質初来日のGreen Cheekだけでした。「実質初来日ってどうゆうことなの?」と思った人の為に説明すると、去年ケグでのみ来日してたんですよね。それで評判が広まったのでしょうか、かつてない争奪戦で私も1本しか買えませんでした。それ以外の人気商品はよく分からないですね。1,000円以下の定番商品が順当に売れていた印象です。

 

最後に

2024年の振り返りは以上となります。2024年に飲んで一番美味しかったIPAは「Fidens/Use It Up」です。ラストピースがバチッとハマる感じが最高なんですよね。「美味しいけど完璧ではないラーメンが卓上のちょっとこだわってるお酢を入れたら覚醒した時」と同じ感動なんですが伝わりますか?飲んだ瞬間にくるアハ体験のような脳内物質の出かたは最高に気持ちよかったです。様々なIPAを飲んでいるので初体験の衝撃はもう味わえないと思っていた僕に、経験があるからこそ味わえる衝撃を教えてくれたUse It Upが2024年最高のIPAで文句なしでしょう。これからもIPAの探求を頑張るぞ!と思わせてくれました。

2025年のビール市場についてですが、2024年時点でクラフトビール市場は縮小しているらしいです。色々な物の値上げによる生活困窮が原因だと思われますが、こればかりはどうしようないですよね。それでもクラフトブルワリーは増えており、2025年には900を超えることでしょう(もう超えているかもしれません)。市場の動きが鈍化するとブームは発生しえないので、人気のブルワリー、スタイルは現状維持で進んでいきそうな気がします。僕自身はウイスキーを完全に捨ててコストカットしたので、更新が減ることはありませんのでご安心ください(新年早々コロナに罹りこの記事の投稿は遅れてしまいましたが…)。

最後までご覧いただきありがとうございました。本ブログでは今年はビール以外のお酒も取り上げようと思っています。今までやったことのないコミカルな形式にしようと試行錯誤を繰り返していますが、今年中になんとかなるはずです。ならなかったら来年の僕に叱ってもらうことにします。

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